<インド India>
インドには、イギリスの植民地になっていた時代にピアノがもたらされたはずで、初めは駐在していたイギリス人がピアノに親しんでいたのではないかと思います。(その当時のインドを描いた1951年のアメリカ映画「河」にもピアノの音が流れていました。)
インドの民族音楽を素材に作曲したピアノ曲の楽譜の目録が、《Traditional World Music Influences in Contemporary Solo Piano Music》(The Scarecrow Press, Inc.Lanham,Md.,&London 1997)という本の中にあります。ただそこに、インド人作曲家のものは見当たりません。また、そこから録音されたものについては情報をつかんでおりません。
ランゴー Rued Immanuel Langgaard(1893~1952 デンマーク)の《ギタンジャリ賛歌》(CDはMarco Poloから)は、インドの詩人タゴールの詩に触発されて作曲されたものだと思いますが、インドの民族音楽とは無関係です。
1989年、アマルデーブ Jerry Amaldev 作曲《インディア(10の基本ラーガによるピアノ小曲集》という作品がサミーミュージック社(〒160-0004 東京都新宿区四谷3ー1 斎藤ビル ☎03-358-6858)から出版されました。これは技術的にはとても弾きやすく、感謝です。
Param Vir(1952~ )の《White Light Chorale》という現代音楽作品がCDに収録されています(spectrum3、piano:Thalia Myers、metronome CD1053)。
Param Vir作《White Light Chorale》
弦楽器が主体のインド音楽をいったいピアノでどこまで表現することが出来るのでしょうか。インドはズービン・メータという指揮者を生んだ国であり、また西洋楽器であるヴァイオリンをみごとに自分たちの音楽を表現する楽器に変えた国でもありますから、インドのピアノ音楽だって不可能ではないはずです。そのような試みのひとつとしてユーチューブで見つけたものを、ここにつけておきます。
Indian Ragas on Piano by Utsav Lal - Millennium Stage (February 26, 2019) - Bing video
Bikram Mitra Piano Indian Classical Music
Sharan Subramanian Raag Yaman on Piano ←これが弾けたらいいと思っているのですが。楽譜探索中
<スリランカ Sri Lanka>
「ショパン」2007年9月号に、スリランカのピアニスト兼作曲家のハルシャ・マカランダ Harsha Makalandaについての記事がありました。彼は2007年10月にインド=スリランカ交響楽団の一員として来日し、演奏会で自作の《ピアノと打楽器のための協奏曲》を演奏したということです。
こちらはスリランカのピアニスト兼作曲家であるタニャ・エカナヤカ Tanya Ekanayaka(1977ー )の自作自演によるCDです(Reinventios Rhapsodies for Piano、Composed and Performed by Tanya Ekanayaka、GRAND PIANO GP693)。Reinventiosとは「新たに作成されたもの」のこと。ヨーロッパのロマン派風の音楽ではないかと思って聴いていたら、そのうちにスリランカの民謡とおぼしき神秘的な旋律が浮き上がってくるという、不思議なピアノ曲集でした。他のCD(「Twelve piano prisms」、「The planet & humanity」)もあります。2023年に発売されたのがCD「18のピアノ・スートラ(経典)と25の南アジアのピアニズム」)で説明はこちら、ユーチューブでここから全曲を聴くことができます。
エカナヤカ《Labyrintth;Vannam Lent(迷宮:ヴァンナム・レント》
ヴァンナムはサンスクリット語の「ヴァーナム=記述的な賛美」を語源とし、ほとんどが特定の動きを表わしているものだそうです。
ここからエカナヤカのインタビューや演奏の動画を見ることができます。
これとは別に Sohlab Uduman (1962ー )の《Still,Suspended》という現代音楽作品がCDに収録されています(spectrum3、piano:Thalia Myers、metronome CD1053)。
<パキスタン Pakistan>
ユーチューブにこの動画がありました。その国独自のピアノ曲がある国としては、まだ未認定です。